もうすぐお彼岸です。3月17日から3月23日までが春のお彼岸となります。お彼岸になると私もそうですが、お墓参りに行きますよね。当社では春と秋のお彼岸中とお盆にはお墓の工事はいたしません。お墓参りに来られた方の迷惑になったり、御先祖様に会いに来られたのに工事の際の騒音でゆっくりできないと申し訳ないからです。
お彼岸の由来をお話しします。仏教ではこちら側の岸を「此岸(しがん)」といい、目的地の向こう岸を「彼岸」といいます。もちろんこちら側は迷いの世界の「娑婆(しゃば)」で、向こう岸の「彼岸」はさとりの世界の「浄土」です。御先祖様の住む世界ですね。
そして「彼岸」に到達するには六つの実践科目の「六波羅蜜(ろくはらみつ)」が必修です。「波羅蜜(はらみつ)」の原義(もとの意味)は「最高の状態」「究極理想の状態」です。しかし中国や日本の仏教では伝統的に「彼岸へ到る行」や「さとりの世界《彼岸》へ到るための行」の意味に解釈しています。漢訳では一字で「度(ど・わたる)」とされたり「到彼岸(とうひがん)」とされます。
日本ではこの「波羅蜜」のサンスクリット語「パーラミータ」を「到彼岸」と訳したのが、いつの間にか先祖供養の日「お彼岸」となりました。日本では三月と九月の春分の日・秋分の日を「彼岸の中日(中日)」として、お墓参りをする習慣があります。この習慣は他の仏教国にはない日本独自の行事です。
春と秋の彼岸の中日、つまり春分の日と秋分の日には太陽が真東に出て「真西に沈み」ます。太陽が真西に沈むはるか向こうには、アミダ様の「西方極楽浄土(さいほうごくらくじょうど)」があります。このことから太陽が最も真西に沈む日は御先祖様を供養するのがよいと考えれられています。